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『エチュード』からみるショパンの凄さ



Daily Music 講師の柴垣健一です。クラシックピアノを主に担当しています。


突然ですが皆さん、「ショパンが書いた作品の中で一番好きな曲」はなんですか?

ワルツ、マズルカ、ポロネーズといった舞曲でしょうか。コンチェルトもいいですし、バラードもどれもいい曲。ノクターンも忘れてはならないし、プレリュードも素晴らしい。

いい曲があり過ぎてなかなか選び難いですが、「エチュード」と答える人はあまりいないのではないでしょうか?(いるかもしれませんが!笑)

ですが私はこの「エチュード(=練習曲)」、具体的には「練習曲集 作品10」「練習曲集 作品25」にこそ、作曲家ショパン、そしてピアニストショパンの凄さが詰まっていると思っているのです。

今回はそんな「エチュード」を通して、ショパンの凄さを

①多様で高密度なピアノテクニック

②引き出しの多さ

③テクニックという芸術作品

という3つの観点から、独断と偏見で語っていきたいと思います🔥


※「練習曲集 作品10」「練習曲集 作品25」について

「練習曲集 作品10」は1833年(ショパン23歳のころ)に出版された12曲の練習曲集。

「練習曲集 作品25」は1837年(ショパン27歳のころ)に出版された、こちらも12曲の練習曲集です。

この12曲+12曲の計24曲が、いわゆる「ショパンのエチュード」です。(実は他にも3曲書いているのですが)



エチュードからみるショパンの凄さ その①

〜多様で高密度なピアノテクニック〜


ショパンのエチュードは、基本的には一つの曲に対して一つのテクニックをあてがったような書かれ方がされています(例えば作品10の1曲目はアルペジオ、2曲目は半音階、など)。つまり全部で(ざっくり言うと)24種類のテクニックが登場することになります。

その引き出しの多さももちろん凄いのですが、さらに驚くべきポイントは、それぞれのテクニックの「密度」です。

アルペジオのエチュードには「アルペジオの難しさ」が、半音階のエチュードには「半音階の難しさ」が、凝縮されています。彼の残した24曲はいわば「高密度なピアノテクニック詰め合わせ」と言えるかもしれません。

そのテクニックの多様さと密度は現代でも通用するもので、現にクラシックピアノの世界では、音大入試でもコンクールでも、いまだにショパンのエチュードが「テクニックを測る物差し」として採用されることが多いです。

そんな200年以上も通用するようなテクニックの物差しを20代にして作ったしまったショパン、凄いです。



エチュードからみるショパンの凄さ その②

〜引き出しの多さ〜


ショパンのエチュードはどの曲も非常に個性的です。親しみやすい『黒鍵』『革命』『木枯らし』などといったタイトルは実は作曲者自身によって付けられたものではないのですが、それぞれの曲のキャラクターが立っているので、そのようなキャッチーなタイトルをつけたくなる気持ちもわかります。

そんなそれぞれが魅力的なエチュードですが、それは即ち各曲において「キャラが被っていない」とも言えます。

24曲がそれぞれ独創的で、多様であることは、ショパンの作曲家としての引き出しの多さの賜物だと思います。



エチュードからみるショパンの凄さ その③

〜テクニックという芸術作品〜


ショパンのエチュードは、「芸術的な練習曲だ」と言われることがあります。確かにその通りなのですが、実は少し違った表現の方が個人的には腑に落ちます。

私は、ショパンのエチュードは

「芸術的な練習曲」というより

「ピアノのテクニックそのものの芸術性が現れている作品」だと感じています。

つまりショパンは「テクニック」というものを「芸術的な表現をするツール」ではなく、「それ自体が既に芸術たりうる」と捉えていたように思うのです。

そういったショパンの姿勢は、エチュード以外の作品にも通ずる彼の「ピアニスト兼作曲家」としての一番の凄みだと感じます。



まとめ


今回はショパンという作曲家についてまとめてみました。改めて、何百年も愛されて納得の凄い作曲家だなと感じます。

今回はブログでのご紹介でしたが、Daily Musicの10分レッスンでも、熱いショパン談義をしたい方、いつでもお待ちしております🔥

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