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アコースティック?電子?それぞれの魅力と選び方【クラシックピアノを学ぶなら】

  • 執筆者の写真: 山田亮
    山田亮
  • 8月2日
  • 読了時間: 6分

更新日:9月27日

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Daily10music 講師の柴垣健一です。クラシックのレッスンを主に担当しています。


クラシックピアノを始めようと思ったとき、「どんなピアノを選べばいいのか」ということは多くの方が直面する悩みです。


特に、アコースティックピアノと電子ピアノのどちらにするかというご相談は、私も頻繁に受けます。


この記事では、それぞれのピアノの特徴や違いを整理しつつ、クラシックピアノを学ぶ上での選び方のヒントをお伝えできればと思います。




どちらでも学ぶことはできる


私は現在、カワイの古いアップライトピアノと電子ピアノ(カワイのCN27)をどちらも使っています。


その上ではじめに強調しておきたいのは、アコースティックでも電子でも、クラシックピアノは十分に学べるということです。


当教室の10分レッスンでも、本格的なクラシック作品に取り組まれている方は多く、電子ピアノで受講されている方も少なくありません。そういった場合でも、皆さん着実に力をつけていらっしゃいます。


クラシックピアノの作品に触れ、感じる体験は、どちらの楽器にもちゃんと存在します。


実際、私自身、どちらも日常的に活用しています。




音の出るしくみの違い


ただ、私自身これまでクラシックピアノを専門的に学んできた経験を踏まえると、「アコースティックピアノでしか得られない感覚」というものが存在することも事実だと、個人的には感じています。


その「感覚の違い」は私の主観にかなり頼ったものなので、アコースティックと電子それぞれの「音の出るしくみ」をまずは客観的に比較してみたいと思います。以下それぞれの楽器の発音の仕組みをまとめてみました。(ざっくりですが)


・アコースティックピアノ

鍵盤を押すとハンマーが持ち上がり、弦を叩く。その弦の振動が木製の響板に伝わり、音が鳴ります。演奏者のタッチによって震える「弦」や「木の箱(ピアノ本体)」がそのまま音になります。


・電子ピアノ

電子ピアノには多くの場合、ハイクラスなグランドピアノ(たとえば私が使っている10万強のCN27はKAWAIの高級モデルSK-EX)の音が録音・サンプリングされています。

奏者が鍵盤を押したときのタッチをセンサーが検知し、それに応じてあらかじめ録音された音がスピーカーから再生されるという仕組みです。




アコースティックピアノの魅力


このように音の発生原理が大きく異なるわけですが、演奏する側としてはその差はどう感じられるのでしょうか。


ここからは私自身の感覚になってしまいますが、クラシックの作品を演奏する際の「没入感」や「自分が音色を作っている」という実感は、アコースティックピアノの方がより細やかに、より豊かに感じられます。電子ピアノは良くも悪くも音が整えられてしまって、きめ細かな表現を「自分のタッチによってしている」という感覚は薄れてしまうというのが個人的な感想です。


なぜそう感じるのかを理屈で説明するのは難しいのですが、上記のような発音原理の違いというのは少なからず影響していると思っています。


そういったことを踏まえると、クラシックピアノの作品をより本格的に、よりきめ細かく味わいたいという場合には、アコースティックピアノは特別な存在だと私は思っています。




とはいえ、電子ピアノも本当に素晴らしい


ここまでクラシックピアノを弾く上でのアコースティックピアノの魅力についてお話ししてきました。ただし、電子ピアノを活用することの素晴らしい利点もたくさんあると私は考えています。


私自身の経験になりますが、もともとは幼少期からグランドピアノを自宅に置いていました。ただ、訳あってそれを手放さなければならないことがあり、また新しい住まいではアコースティックピアノを設置できないという事情もあり、「やむなく」電子ピアノを購入するということがありました。その際に購入したのが現在も使っている電子ピアノです。


それまでは日常的に電子ピアノを触るということはなく、当時の感覚としては本当に「やむなく」購入したという感じでしたが、いざ使用してみるとその印象は大きく変わりました。


音色の確認、タッチの粗さのチェックなどに関して、想像以上にきめ細かく練習ができることにとても驚きました。そして何より、昼夜問わず練習できるということに本当に助けられました。


「本来ピアノを置けない物件」で、ここまで本格的にクラシックの練習ができること、その楽器としてのクオリティの高さに脱帽するばかり、という感じでした。


なので、「電子ピアノではクラシックピアノは習えない」などとは思わず、電子ピアノでも十分にたくさんのことを学ぶことができると思っていただきたいです。(この点は「オンラインレッスンでもクラシックピアノは十分に学べる」ということとも似ていると思います。)


また、様々な環境で演奏ができる電子ピアノという存在は、多くの方にピアノを楽しんでいただく上で、なくてはならないものだと思っています。




それぞれの環境に合った選択を


ここまでの内容をふまえて、楽器選びに関して普段私が生徒さんにお伝えするのは以下のようなことです。


・アコースティックピアノは、クラシックピアノの作品をより没入感を持って、よりきめ細かく豊かに味わえると感じる。


・電子ピアノは、様々な制約のある暮らしの中で無理なくピアノを続けるための、頼もしい味方。


・「アコースティックでなきゃだめ」ということはない。環境に合わせて選ぶことが大切。


また、「自宅では電子ピアノで練習し、必要に応じてレンタルスタジオでアコースティックピアノに触れる」といったこともできますし、最近はピアノの「サブスク」サービス(月額でスタジオ利用)などもあるそうで、実際に活用されている方も周りにいらっしゃいます。


このように「電子かアコースティックか」という二者択一ではなく、環境に合わせて様々な選択肢を考えることもできると思います。




まとめ


これまでアコースティックピアノと電子ピアノを比較してきました。最後にお伝えしたいのは、どちらで演奏するにせよ「演奏することは楽しい」ということです。


アコースティックと電子でもちろん「違い」はありますが、どちらかでないと楽しめないということはありません。


アコースティックピアノはより本格的にクラシックピアノを楽しむために、電子ピアノは環境による制約を超えてクラシックピアノを楽しむために、など、是非それぞれの楽器の価値を活かしてピアノを楽しんでいただきたいです!

 
 
 

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