こんにちは、Daily Music 講師の山田亮です。
楽譜をみていて、その場所の調性を知りたい時はどのようにしたら良いのでしょうか?
以下の楽譜はベートーヴェンのピアノソナタ (Op. 49-2) の冒頭です。
曲の調を判別するにはまず調号をみます。この曲の場合は♯が1つなので、ト長調(G major)かホ短調(E minor)だと思われます。
ト長調とホ短調は同じ調号を持つ平行調です。これらの違いを見分けるには、短調の導音に着目します。もしホ短調ならば導音であるレの音に♯がついている可能性が高いのです。この曲の冒頭からレの音を順番にみていくとこのようになります。
青い丸が普通のレで、赤い丸がレの♯です。圧倒的に普通のレが多いですね。
また、赤丸のレ♯もレからミに行く経過音だと捉えられそうです。どうやらこの曲の冒頭はト長調だといえます。
ところが最初の方にト長調の音階にない音が出てきます。3小節目のファの音です。これは転調をしているのではないでしょうか?
結論から言うと、ここのファの音のところで一時的に転調をしているといっても良いと思います。調号のファがナチュラルでキャンセルされているので、調号なしの調、つまりハ長調(C major)になっています。
ここが一時的な転調だと分かる理由はこのすぐ後のファ#にあります。
ここでファにふたたび♯がつくことで、またもとのト長調の世界に戻っています。
このように臨時記号によって他の調の転調しても、またその臨時記号がすぐ後にキャンセルされる場合は一時的な転調だとみなします。
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